売れる健康食品、消費者に選ばれ続ける健康食品を開発するには海外トレンドの把握は必須と言えます。日本よりもウェルネスフードの研究・開発が進んでいる欧米の健康食品トレンドを知ることで、日本でこれからヒットする健康食品のヒントが得られるでしょう。
無数にある健康食品のトレンド情報のなかで、当調査チームが注目したのは、英国発のウェルネスフード業界専門誌「New Nutrition Business」(以下、NNB)。1995年創刊で、42カ国、1000社以上の上級管理職が購読している専門媒体です。
ここでは、定性的かつ定量的な調査から導かれた「10キートレンド」の概要や事例、活用法を説明します。
そもそもNNBの「10キートレンド」とは?
長期的な成長が見込めるトレンドが把握できる
NNBが2006年から毎年発行している「10キートレンド」。NNBが独自に開発したシステムで定性・定量の両側面で分析を行い、長期的・継続的に成長しうる市場や動向を10のワードで示したものです。 一過性のブームではなく、将来的な成長の機会が見込めるトレンドであるため、商品やブランドの戦略基盤となりえる情報と言えます。
この「10キートレンド」を取り入れることで、グローバルな長期的成長の機会を得ることが可能です。
【専門家に聞く】
NNB10キートレンドの活用方法は?
ここまで英国のウェルネスフード業界専門誌「New Nutrition Business」の10キートレンドについて解説してきましたが、実際にこのトレンド情報を商品開発やマーケティング戦略に活かすには、どのような点に注意すべきなのでしょうか?
日本で唯一NNB10キートレンドの日本語要約版を提供し、海外の健康食品トレンド情報に精通するグローバルニュートリショングループの武田猛先生に、活用法のポイントを解説していただきました。
株式会社グローバルニュートリショングループ
35年以上一貫して健康食品業界でビジネスに携わり、国内外650以上のプロジェクトを実施。機能性表示食品普及推進協議会設立メンバーであり、『健康食品ビジネス大事典』『ヒットを育てる!食品の機能性マーケティング』など健康食品関連の著書もある。現在も年間50件以上の企業セミナーを開催し、欧米トレンドを採り入れたマーケティング視点で、数々のヒット商品の開発に関わる。
グループ代表取締役 武田猛先生
質の良い情報を定点観測することが大切
海外トレンドを取り入れて、自社のビジネスに活用しようとする際に気を付けなくてはならないことがあります。
それは、そのトレンドを分析した当事者が誰なのか、という点とトレンドの表面だけでなく、その背景にある要因や歴史をしっかり理解をしたうえで、日本市場の特性に合わせて戦略を立てることです。
毎年、海外から最新トレンドと称する情報が数多く入ってきます。それらの多くは表面的なものが多いのが実情です。それらの情報を鵜吞みにして、「今は○○がトレンドだ」とばかりに参入しても成功できる可能性は低いでしょう。
何故なら、それらの情報の多くは「業界人」による分析ではないからです。常にその業界で実務を積んでいるプロフェッショナルが、長年の経験と最新の知見から変化に気付き、戦略的に視点で分析した上で提案されるトレンドとは、その重みと信ぴょう性が異なります。
「業界人」による「業界人」のためのトレンド提案。これこそが「NNB 10キートレンド」です。
そして「NNB 10キートレンド」には、現象論だけではなく、各トレンドに対する戦略案も提案されています。具体的なアクションプランにつながるヒントが多々あります。
重要な点は、現在の状況だけでなく、現在に至る経緯、つまり歴史を分析した上で、なぜ現在の状況になっているのかを深く洞察することです。
その上で、海外と日本との違いを分析し、日本に合った形にアレンジする必要があります。そのためにも、常に質の良い情報を定点観測することが大切になります。
日々の小さな努力の積み重ねによって、大きなビジネスチャンスを手に入れることができるのです。